モルトウイスキーVSブレンデッドウイスキー ウイスキー論争とは?

 


 スコットランドをはじめ、今となっては全世界で消費されているウイスキー。昨今は各地で次々と小規模蒸留所の建設ラッシュとなっており、様々なシングルモルトの話題に世間は沸いております。
 が、しかしです。意外と知られていない事なのですが、私含め世のマニアックな人々の「あの蒸留所が〜」「あのボトラーズの出す○○の銘柄が〜」なんて会話を他所に、販売量の大多数を占めているのは今もって「ブレンデッドウイスキー」なのです。
 スコッチウイスキーにいたっては生産量の実に9割を占めているブレンデッド。様々な蒸留所のモルトとグレーンの組み合わせで実に多様な味わいが創り出されるブレンダーの手掛ける芸術品。文字通り世界のウイスキー市場を下支えする巨大産業となったこの種別ですが、ブレンデッドウイスキーがこのような地位を占めるには全英を巻き込んだ一騒動があったのです。
 今回はブレンデッドウイスキーの地位を確たるものにした「ウイスキー論争」についてご紹介していきます。
 

目次
1.おさらい〜モルトウイスキーの発展とグレーンウイスキーの登場
2.誕生!ブレンデッドウイスキー
3.「ウイスキー論争」
4.決着とその後


 
1.おさらい〜モルトウイスキーの発展とグレーンウイスキーの登場
 1823年の酒税法の改正・1824年の公認蒸留所第一号「グレンリベット」の登場によってスコットランドの密造酒時代は幕を閉じました。これにより多くの蒸留所が公認を得て蒸留を行うようになりウイスキーの市場は徐々に拡大していきます。
 こういった過渡期には得てして需給のバランスは「需」の方に天秤が傾きがちです。事ウイスキーについても同じだったようで、需要に対して供給が追い付かなくなっていく中で、より効率的にウイスキーを生産する試みが盛んに行われるようになりました。
 時に1830年、彗星の如く登場したのがアイルランド出身の元徴税官「イーニアス・コフィ」によって考案された「連続式蒸留機」。大量生産可能な仕組みを持っていたこの蒸留機は、麦芽だけでなくトウモロコシ・小麦などを遠慮なく用いた「グレーンウイスキー」を引っ提げ、当時のウイスキー市場に殴り込みをかけるのでした。
 香気が強く個性的なモルトウイスキーに比べ、安価でマイルドなグレーンウイスキーはローランド都市部を中心にじわじわと消費量を増やしていきました。対するモルトウイスキーも、ハイランド⇒ローランド間の流通環境整備に伴い堅実に販売量を増やしていきます。
 当然の帰結ではあるのですが、この2つのウイスキー生産者は徐々に対立を深めていくのです・・・
 
2.誕生!ブレンデッドウイスキー
 人間贅沢なもので、グレーンは安いけど味気ない…モルトはパンチが効いているけれど好みが別れる…なんて世評から市場は第三の選択肢を求め始めます。
 モルト・グレーン両ウイスキーを混合する試み、それを専門に行う「ブレンダー」という職業・ないし業者が現れ、大量生産とマイルドで安定した味わいの良いとこ取りウイスキー「ブレンデッドウイスキー」が誕生するのはある種歴史の必然とも言えるのでした。
 折しもその時、ヨーロッパではワイン好きの皆様のトラウマ案件、あの「フィロキセラ」が大流行。ワイン生産やそれを原料とするブランデー製造が覚束なくなり、その隙間を埋めるようにブレンデッドウイスキーは市場をじわじわと侵食していきます。
 現在にも残る「ジョニーウォーカー」・「ホワイトホース」などといった銘柄が現れ始めたのもこの時期。小規模で独自販路を持たないハイランドのモルト業者と少しでも多くの原酒を確保したいブレンデッド業者の需給は一時的に一致し、製品化と流通販売を行うようにまでなったブレンデッド業者はますます勢いづいていき、企業間の競争も激化していきます。
 
3.「ウイスキー論争」
 さて、先ほど書いたように表面上は手を組んだモルト業者とブレンデッド業者。とはいえ方や下請け業者として来る日も来る日もモルトウイスキーを納入するモルト業者としては、独自ブランドや大量生産で大発展を続けるブレンデッド業者を眺め続けるのはまあ面白くありません。ついに一部のモルトウイスキー業者がブレンデッドウイスキー業者を告発する事態となります。
 曰く、「ブレンデッドやグレーンはウイスキーとは言えない!」老舗ラーメン屋の暖簾分けに伴うドタバタのような様相を呈してきました。
 具体的な事件は1905年に起こりました。先の訴えを受け、ロンドン警察が「コフィー式ウイスキー(グレーン)は真のウイスキーではなくまたそれを含むブレンデッドも食料薬品法の禁ずる混合物である」として、とあるブレンデッド業者を摘発してしまったのです。そして・・・1審は有罪!!
 収まらないのはグレーン・ブレンデッド業者です。当たり前に控訴します。彼らは「ウイスキーとは?」という問題に一気に決着をつけるべく、委員会の設置を要求しました。こうして世にいう「ウイスキー論争」の本格的な火蓋が切って落とされたのです!
 
4.決着とその後
 双方収まりのつかなくなった「ウイスキー論争」。最終的には1909年の裁判で決着がつくことになります。37回もの審議を経て出た結論に曰く「ポット・スチルによるものも、パテント・スチルによるものも共にウイスキーと認める。」 ブレンデッド業者大勝利!
モルト業者残念!!
 これを期に晴れてその存在を認められたブレンデッドウイスキーは、この後さらなる躍進を遂げていくことになります。スコッチウイスキー=「ブレンデッドウイスキー」という認識は次第に一般化し、アイリッシュウイスキーとの対決を経て、ブレンデッドウイスキーは世界の酒としての確固たる地位を固めるのでした。
 その後1980年代ウイスキー沈滞期を経て、シングルモルトの蒸留所それぞれの特徴が脚光を浴びる現代にいたってなお、ブレンデッドウイスキーは世界のウイスキー消費量の多くを占め続けています。
 
 さて、こうして確固たる地位を得たブレンデッドウイスキーですが、翻って我らが日本の生産環境を眺めると…グレーン製造業者があまりにも少ないのです。連続式蒸留機はその仕組上大規模な施設とそれを維持する資本が必要となってきます。そして日本の慣習上、メーカー同士の原酒交換は未だ一般的ではありません。 
自主基準とは言えしっかりとした定義も決定し、新たなスタート地点に立った国産ウイスキー。今後メーカー同士の様々な交流が行われ、美味しい国産ブレンデッドが沢山登場すると良いなあと思いつつ筆を置かせていただきます。


(本文・須藤 元)

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