安楽椅子探偵? ニューリリースウイスキーの謎を解く

 最近Twitter等でちょっとした話題になっているウイスキーがあるのをご存知でしょうか。笹の川酒造、安積蒸留所より発売された「安積 山桜ブレンデッドジャパニーズウイスキー シェリーウッドリザーブ」という製品。オーセンティックバー等を中心とした飲食店様向けにリリースされた商品です。なにやら界隈の皆様は訳知り顔で実に意味深なコメントを残しております。
 今のところこの商品の詳細について言及しているのは安積蒸留所の公式Twitterアカウントだけ。しかもこれは海外向けに使用したであろう英語でのリリース文章。国内出荷するウイスキーにしてはやや押し出しが弱いような…
 しかし、このリリース文をよくよく読んでこのウイスキーの正体についてじっくり考えてみると…実はこのウイスキーがわりととんでもない代物であるということが見えてくるのです…。
 今回は開示されている事実を辿りながら、ちょっとした探偵気分でこのウイスキーの正体についてじっくり考えてみましょう。
 

目次
1.唯一の手掛かりであるオフィシャルリリース文を読み解く
2.Japanese Blended Malt Whiskyとは?
3.安積蒸留所と笹の川酒造
4.結局どんなウイスキーなの!?


 
1.唯一の手掛かりであるオフィシャルリリース文を読み解く

 まずは今のところ唯一の公式文章と言ってよい安積蒸留所公式Twitter上のリリース情報を一文づつ読み解いてみましょう。あくまで意訳になりますがお付き合いください。
「This is the blended malt Japanese whisky that carefully selected from the our company stored and the whisky that distilled at Asaka distillery.」
 ⇒これは安積蒸留所で蒸留されたウイスキーと、慎重にセレクトされた弊社貯蔵(のウィスキー)によるブレンデッドモルトジャパニーズウイスキーです。
 
「It had ripened in sherry casks for 18 months.」
 ⇒これはシェリーカスクで18ヶ月間熟成されました。
 
 この先は味わいや飲み方についてのコメントが続き、最後にスペックが記されていますね。

Blended malt Japanese whisky
RAW MATERIALS 〇 malt
ALC% 〇 50%
VOLUME 〇 700ml
LIMITED 〇 440bottle
 
 …と、このようにごく短い説明があるのみです。
 
2. Blended Malt Japanese Whiskyとは?

 先ずは、商品名にも記されている「ブレンデッドモルトジャパニーズウイスキー」とはどういうことか。文節事に区切って確認してみましょう。
 まずは「ジャパニーズウイスキー」、この表記については大分前のブログでもご紹介したように、本年初頭より使用するにあたっての決まり事(あくまで業界団体の自主基準ですが)ができました。「ジャパニーズウイスキー」を名乗るには構成する全ての原酒の蒸留を国内で行わなければならないのです。つまる所、このウイスキーが国産のウイスキーであることを示しています。
 前半の「ブレンデッドモルト」とはどういうことか。皆様耳馴染みのある「ブレンデッドウイスキー」は大麦原料のみの「モルトウイスキー」とその他穀類を原料に使用した「グレーンウイスキー」をブレンドした物ですが、「ブレンデッドモルト」はざっくり行ってしまえば「モルトウイスキー」のみをブレンドした物となります。
 ここで注意したいのが、ウイスキーを生産した蒸留所が単独かあるいは複数なのかという点です。一つの蒸留所で作った「モルトウイスキー」をどれだけブレンドしようとも、それはあくまで単一蒸留所の「モルトウイスキー」つまり、「シングルモルト」となります。2箇所以上の蒸留所の「モルトウイスキー」がブレンドされることで初めて「ブレンデッドモルト」と呼ばれることになるのです。
 これらの情報をざっくり纏めると、本商品は、「2箇所以上の国内蒸留所で蒸留されたモルトウイスキーをブレンドした物」であり、これがまさしく冒頭の「Blended Malt Japanese Whisky」とは何かという問いの答えになるのです。
 さて、ここでオフィシャルリリースの一文を振り返ってみましょう。
 
「〜that carefully selected from the our company stored〜」
 ⇒慎重にセレクトされた弊社貯蔵(のウィスキー)
 
 「Blended Malt Japanese Whisky」とは何か、という前提のもとこの文章を読むことで、安積蒸留所で蒸留された原酒以外に使用されている構成原酒は、国内蒸留の「ジャパニーズウイスキー」であることを読み取ることができます。
 これらのウイスキーをヴァッティングし、シェリーカスク(サイズは生産本数から考えると比較的大きな樽になるでしょう)で18ヶ月間後熟させた物…というのがこのウイスキーの大まかな正体となります。さて、今のところ凄いのかどうなのか…というのが正直な所。
 このウイスキーをさらに深堀りするために、次項ではこのウイスキーの販売元であり出自が明らかな方の構成原酒を製造している「安積蒸留所/笹の川酒造」について確認していきましょう。
 
3.安積蒸留所と笹の川酒造

 安積蒸留所は福島県で2016年に誕生し、同年3月より試験蒸留をスタート。その後年内に本格製造に乗り出し、「安積」を冠した商品としてはこれまでノンピートの第一弾・ピーテッドの第二弾・干支ボトル・そして数種類のプライベートカスクのみ。オフィシャルリリースとしては今回の商品が第四弾となります。ということは、このブレンデッドモルトに使用されている安積原酒は、少なくとも3年・余程長くて5年の熟成を経た物ということが判ります。業界団体の自主基準を遵守する以上、熟成3年未満の原酒を入れてしまうと「ウイスキー」を名乗ることができません。ノンピートなのかピーテッドなのか、どんな樽で熟成したのか、という所は一旦置くにしても、これで構成原酒の1種類が何なのかは大まかにつかめましたが、もう一方の他の原酒の正体は国産ということ以外は不明のまま…
 と、ここで話は一旦、安積蒸留所の母体である福島県の地酒メーカー「笹の川酒造」に移ります。1765年に創業し日本酒を主に製造するこの会社、実はウイスキーについては意外な程古参だったりします。戦後間もない1946年には製造免許を取得。輸入したモルト原酒に自社のアルコールを混合した所謂2級ウイスキーを製造していました。現在も海外原酒を利用したブレンデッドの「山桜」を販売していますね。余談ですがこちらはこちらで安くて旨い地ウイスキー。是非味わってみてください。
 さて、この笹の川酒造、ウイスキーファンにとっては特に有名なエピソードがあります。「イチローズモルト」で有名な「ベンチャーウイスキー」が設立される前の事、家業であった東亜酒造を2004年に日の出通商グループ傘下とし経営を離れた肥土伊知郎氏が、引き取り手が無く廃棄される運命にあった東亜酒造貯蔵の原酒を預ける先として選んだのが、実はこの笹の川酒造だったのです。
 当時酒販免許も持っていなかったベンチャーウイスキーは、この原酒を利用して製造・販売笹の川酒造・プロデュース、ベンチャーウイスキーという体制で何本かのウイスキーを世にリリースします。これが初期の「イチローズモルト」。今や伝説となった「カードシリーズ」に代表される東亜酒造羽生蒸留所原酒を使用したボトルはこうして誕生します。
 肥土氏と笹の川酒造の熱いタッグ、情熱的にバー営業廻りを行う肥土氏、そして香港オークションで1億円の金額を付けたカードシリーズなどドラマティックな話題に事欠かないこの辺ですが本筋からズレるので割愛するとして、つまり何が言いたいのかというと、これらのエピソードから、「笹の川蒸留所は初期のイチローズモルト、羽生蒸留所の原酒を貯蔵庫に持っている(あるいは持っていた)」という事実が浮かび上がってくるのです…。
 
4.結局どんなウイスキーなの!?

 さて、長々書きましたが結局このウイスキー、「安積 山桜ブレンデッドジャパニーズウイスキー シェリーウッドリザーブ」って一体何なの!?という話ですが… 結局オフィシャルリリースがこれ以上の情報を開示しない限り、判るのはここまでです。安積の3年熟成原酒と他の国産ウイスキーをブレンドした物をシェリーカスクでフィニッシュしたらしい。言ってしまえばそれだけの事です。 
 しかし、長々書いてまいりました諸々のエピソード、笹の川、東亜酒造、イチローズ、カードシリーズ… これらを考慮してみると、なんともロマンのあるボトルであるとは思えませんか…?
 弊社にも入荷してまいりましたが、全て飲食店様への出荷が決まっております。私も得意先様にお邪魔して飲んでみるつもりです。皆様も是非このロマンあふれるボトルを一口飲んでみてください!!
 
 あ、そうそう。なんの関係もありませんが、ボトル販売と量り売りでご好評をいただいております弊社駅前店舗Baphareですが店頭での試飲も行っております。なので、しっかり飲食店として届け出を出しているのですよ! まあ今回の話題と関係ないですけどね。
 
 ええ、今は、関係ない話題ですね…。
 
 …というわけでお楽しみに。

ECショップの「キーワード:笹の川」一覧はこちら。
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(本文・須藤 元)

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