酒井ワイナリー
東北最古のワイナリーであり、最新のナチュラルなスタイル


100年以上もワイン醸造を行う酒井ワイナリーでは創業当時から濾過用のフィルターがありません。自然に根ざしたワイン造りを行う同社では酵母添加を行わず、野生酵母のみで発酵を行います。無清澄・無濾過、亜硫酸は極少量添加で、なかには無添加のワインもあります。そんなフィルター機材を持たないワイナリーではタンクにあるワインの滓が自然に沈殿するのを待ち、その上澄みのワインだけをすくっていきます。これを繰り返し行うことで最後に残った部分を澱と共に一升瓶で熟成(シュール・リー)させるユニークな熟成を行って、一部のワインにブレンドしています。一升瓶(1.8L)の容器がある日本だからこそできる醸造の風景です。

日本全国で農家の高齢化・耕作放棄地が問題になっていますが、赤湯もまた同じです。ブドウ畑の伝統を守ることに使命感を持つ酒井ワイナリーでは生食用ブドウも契約農家から購入してワインにしています。品質に問題はなく形が悪いなど、A品として売ることが出来ないブドウもなるべく高値で購入しています。シャイン・マスカットやロザリオ・ビアンコといった、普段は食用として目にするブドウが、ワインにユニークなヒントを与えると考えています。日本の固有品種や北米系のヴィティス・ラブルスカ種(通常、ワインにはヨーロッパ系のヴィティス・ヴィニフェラが使用される)は単一で醸造しても何か物足りなかったり、甘いニュアンスが出すぎたりするため、これらをブレンドすることで足りないところを補っているのです。またそれは相乗効果を生んでワインの品質が上がることにつながると考えています。同社では「ブレンド」をコンセプトにユニークなワインが多数生産されていますが、そこには醸造家としての酒井一平氏の哲学が詰まっています。
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